仕事で連絡ミスを連発
スタッフ間の情報伝達がうまくいかない
これには必ず理由があります。
そして、いくつかのポイントを意識するだけで連絡ミスは激減させることができます。
長年温泉旅館のフロントマンとして働く筆者が、ミスの原因と効果的な対策を解説していきます。
ミスを予測する
フロントマンは、温泉旅館の司令塔です。
刻々と変わるお客様の情報を客室係・調理・仲居などに早く正確に伝えなければなりません。
フロントから発信した情報が伝言ゲームのように各部署に順番に伝えるケースも頻繁にあります。
発信源の情報伝達能力が低いと大きな問題に発展しかねません。
【連絡ミスの原因①】
ミスを予測できていない
【解説】
ある程度仕事の経験を積んでくると連絡ミスが発生するパターンを体得してきます。
言葉の響きが似ていたり、勘違いしやすいパターンがあります。
これを予測し、先回りして誤解を防ぐ対策を講じる必要があります。
【対策】
旅館でこんな事例がありました。
お客様から『宴会が終わる夜9時にタクシーを呼んで欲しい』と依頼がありました。
新人のAさんは、タクシー会社に『9時にタクシー1台お願いします』と手配したのですが時間になってもタクシーは来ません。
確認してみるとタクシー会社は翌朝の9時と勘違いしていたのです。
確かに翌朝チェックアウト時のタクシーを依頼することが大半でしたのでタクシー会社も早合点したのでしょうが、これは予測で防げるケースです。
『明日の朝ではなく、今夜の9時ですよ』
と確認の一言を添えるだけで良かったわけです。
『相手はこんな誤解をするのではないか』と予測するクセを身に付けましょう。
車の『カモ運転』と一緒です。
『だろう運転』は事故のもとですよ。
相手の反応を見逃さない
【連絡ミスの原因②】
相手が理解できていないことを見逃している
【解説】
伝えるべきことはきちんと伝えたはず。
でも相手には正しく伝わっていなかった。
これは、相手が連絡した内容をしっかり理解できていないことが原因です。
新入社員などは、いちいち質問することを遠慮して分かった振りをしてしまいます。
しかし、ベテランになるほど相手が理解できていないことはすぐに分かってしまいます。
そのサインを見逃さないことが大切です。
【対策】
連絡事項を伝えた時に相手の反応が、
『あ、はぃ…』
のような自信なさげな、力のない声の時は、ほぼ理解できていません。
連絡ミスの多い人はこの時、『言うべきことは言ったし、相手も返事をした』と捉えて終わりにしてしまいます。
これがミスの原因です。
私であれば、
『あれっ、大丈夫ですか?これは〇〇〇と言うことですよ。×××ではないですよ』
と少しかみ砕いて言い直します。
すると相手は『あ、〇〇〇と言う意味でしたか!×××と勘違いしていました』
となり、ミスを防ぐことができるのです。
情報を声にするのが連絡ではありません。
相手に理解させて初めて連絡になるのです。
相手の理解を確認するクセをつけましょう。
言い換える
【連絡ミスの原因③】
誤解を防ぐ工夫をしていない
【解説】
相手に正しく理解させるには、誤解を防ぐ工夫をしなければなりません。
その工夫のひとつが、原因②でも述べたように【言い換える】ということです。
【対策】
誤解しやすいパターンを予測して言葉を言い換えます。
最初のタクシー手配を例にしますと
『明日の朝の9時ではなく今夜の9時ですよ』
『今から宴会をして、宴会が終わる9時にお願いします』
などと言い換えると良いでしょう。
分かったふりをしない
【連絡ミスの原因④】
分かったふりをしてしまう
【解説】
新入社員やプライドの高い人は、分かったふりをしてしまいがちです。
これが連絡ミスの大きな原因になります。
伝える相手が分かったふりをすることもありますし、自分自身も無意識にしているかもしれません。
【対策】
相手の分かったふりは、反応を注意深く観察していればある程度分かってきます。
問題は自分自身の分かったふりです。
『理解力ない人』と思われたら恥ずかしい…などというつまらないプライドは捨てて、完全に理解できるまで内容を確認することが必要です。
いくつかの確認だけで済むことを面倒くさがると、ミスが発生しその何倍もの時間と労力を使うことになります。
しつこく質問する
【連絡ミスの原因⑤】
疑問点を放置している
【解説】
疑問を放置したり、勝手な解釈をすることで連絡ミスが発生します。
正確に情報が伝達するように、伝える側も受け取る側も努力する必要があります。
【対策】
完全に理解できるまでしつこく質問してください。
『恥ずかしい』などと考える必要はありません。
私は、『Aですよね?BでもCでもなくAですよね?前回と同じAですよね?』
と、しつこく食い下がります。
情報を受け取る時はこれぐらいしつこく質問しましょう。
時々、何か質問すると
『当たり前だろ!』
と、突き放した言い方をする人がいます。
こんな言い方をされると特に新入社員などは怖くて質問できなくなってしまいます。
『BでもCでもなくAですよね?』
と、質問されたら『当たり前だろ!』ではなく、
『そうそう、BでもCでもなくAですよ!』と丁寧に答えることが大切です。
社内全体がそう答える雰囲気に持っていかなければ連絡ミスは減りません。
まとめ
連絡ミスは、情報を発信する側と受け取る側の双方に原因があります。
お互いに歩み寄って正確に情報を伝える工夫と努力をしなければなりません。
どちらも自分本位の伝え方、解釈の仕方をやめて協力し合うムードを社内に作り上げて行きましょう。
管理人プロフィール
営業職、事務職など6回の転職を経験した後に接客業に15年以上従事する。
現在温泉旅館のフロントマンとして、これまで数千人のお客様の接客経験を積む一方で、
旅館組織の司令塔として組織間の情報伝達について日々研究と実践を重ねている。
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