今のご時世、ネットの影響力を抜きにして生活は出来ない社会になってきています。
企業にとってはお客様からの「口コミ」の投稿のお陰で、派手な広告をしなくても知る人ぞ知る名店になっていることもありますね。
一方で、この影響力を逆手にとって脅し文句に使うモンスタークレーマーの出現も企業にとっては対応を迫られる問題となってきています。
SNSの影響力の大きさゆえに、ひるんでクレーマーの言いなりになりそうな従業員にはしっかりしたクレーマー対応のノウハウを防衛手段として身に付けてもらわなくてはなりませんね。
当記事では、このようなモンスタークレーマーがどうして増えてきたのかその原因を分析し、企業としてどんな対応をするのが賢明なのかを解説します。
モンスタークレーマー対応の基本を押さえたい方は是非ご覧ください。
モンスタークレーマー増殖の原因
「客」の心の闇
店に対する客の様々な意見・クレームはいつも悪いというわけではない。
店側が気づかない視点を指摘してもらうこともあり、それを糧として急成長した業種もあります。
例えばあの『牛角』も創業当時は業績不振でしたが、「お客様の声」としてクレームを言ってくれたお客様に飲食代金300円の値引きという策に出た結果、問題が改善され急成長を遂げたとされていますね。
ところが悪質なクレーマーになると自分の欲求不満のはけ口となっているわけですから、店側はプラスになるクレームかどうかを見極める必要があります。
そういった客の悪質なクレームには次のような理由が考えられます。
- 金品目当て
- お店のあら捜しをしてはクレームをつける自分は正義味方であり「自分は正しい」と店の従業員を論破。自己陶酔してしまうタイプ。
- SNSで、物事にうがった見方をしたコメントを発信すると意外とそれに同調するコメントが続々投稿。自分と同じようなうがった見方をする人間がある一定数いることに気が付く。そういった輩を煽り立て、「皆が自分に同調してくれる」という、承認欲求が満たされる快楽に溺れるタイプ。
ネットが普及する以前は、店員に絡んで恫喝するだけだったモンスタークレーマー。
今はSNSの普及で、普段から自分に対する世間からの評価の低さに不満を抱いているある種の人間が、自己発散する格好の場所となってきているのです。
「店側」の古い考え方
「お客様は神様です」をモットーに日本は昔からお客様に対する過剰なサービス、どんな仕事も喜んでする、的な思想が根強くありました。
良い方にとらえれば素晴らしい「おもてなしの国日本」ということですが。
しかしそういう店の足元をみてモンスタークレーマーが増殖。
何でもかんでも客の言いなりになるという風習はもう終わりにしなければなりませんね。
社会全体の責任
事実かどうかわからない噂話に関係ない第三者が乗っかって尾ひれを付け、面白おかしくどんどん悪い方へ話を大きく作り上げていく。
顔が見えないという安心感から無責任で好き勝手な自己発散の場になっているSNS。
SNSで脅しをかけようとするモンスタークレーマー発生の背景にはこういった社会の変化があることも忘れてはならないでしょう。
よく引用されているSNSの悲劇の事例として、タクシードライバーの話をご存知でしょうか。
『トランクから荷物を下ろす際運転席から降りなかったばかりにSNSでサービス悪いと実名を晒され再就職出来なかった』というものですが…うっぷん晴らしの無責任な一言が一人の人生を葬ってしまう恐ろしい出来事です。
具体的な事実や状況を確認もしないでSNSで噂になっているから、と勝手に色眼鏡で見ようとする社会の在り方にも問題があるということですね。
モンスタークレーマーへの対応策
悪質なクレーマー発生の原因から考えていくと、対応のポイントは「相手のペースに乗らない」ということ。
クレーム対応の第一人者として数々の著書を書いている元大阪府警刑事の援川 聡氏も自身の豊富な現場対応の事例から理不尽な悪質クレーマーの撃退は「相手の言いなりにならず逃げる・かわす」ことにあるとされています。
具体的には次のような対応になるのではないでしょうか。
クレーマーに自分の非を認めるような謝罪はしない
相手の怒りを収めようととっさに謝ってしまいがちになるでしょうが、それはクレーマーの思うつぼ。「謝るということはそちらに非があることを認識しているわけだな」と言いうことになってしまうので。
クレーマーに金品の提供をしない
こういう行為自体が店側の非を認めてしまう行動になり、味を占めてどんどん次の要求をしてくるようになります。
クレーマーに言い返し・反撃しない
ますますヒートアップさせることになるので言い訳したり、口答えして口論になることは絶対避ける。「ですから…」「ですが…」「だって…」は辞めてください。
従業員は一人で対応しない・やり取りの記録をとっておく
後で言った言わないのトラブルを避けるためにも、複数人で状況を共有する方が確実ですね。押しに弱い従業員が一人で対応し、クレイマーに言いもしないことを「確かに言ったぞ」などと脅迫されてはたまりません。
音声や動画の記録に残すことによって、証拠になります。
クレーマーが「責任者を出せ」と上役を引きずり出そうとする時
言いなりになって呼びに行く必要なし。「私が責任者です」と開き直って対応。
クレーマーが「SNSで晒すぞ」などと騒ぎを大きくしようとした時
お店の評判に関わるため、「辞めてください」などとクレーマーに懇願したくなるでしょうがその必要なし。相手の思うツボで交換条件に金品などを要求してくる危険もある。
「SNSに投稿した内容によっては、こちらとしても法的手段に出させていただきます」と
ここで法的権力をちらつかせる。
こちらはやり取りをキッチリ記録として取ってあるのですから、ウソにまみれた勝手なコメントなどすれば、警察沙汰に。
同様に、もしクレーマーが「土下座しろ」だの「殺す」だの身の危険を感じるような発言をするようであれば立派な犯罪なので、動画や記録とともに「では警察でお話ししましょう」と促せばよいのです。
よほどのことがない限り、クレーマーも人の子ですから警察沙汰はご免でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
いざ、モンスタークレーマーに面と向かうと動揺してとにかく早く逃げたいの想いが先走り、冷静に対応できない人がほとんどです。
こういう時こそ落ち着いて、相手の思うツボにならないよう、職場として対策を話し合っておくことが大切ですね。
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