バンドマンの生活の裏側~失敗しないために重要な営業戦略

バンドマンなら誰もが1度は憧れるメジャーという華やかな舞台。

 

毎日音楽の事だけを考えて、毎日のようにテレビやラジオに引っ張りだこで、印税や契約費をガッポリ稼いで、いずれは海外に移住して・・・

 

そんな世界を夢見て今も音楽にしがみつくバンドマンは日本には沢山いる事でしょう。

その中から果たしてメジャーという舞台に立てるのはどのくらいなのでしょうか。

そして、果たしてメジャー契約を成し遂げたからといって順風満帆な人生を歩む事は可能なのでしょうか。

 

ここでは、バンドマンがこれからの人生に失敗しない為の道筋の立て方や、バンドで成功するという概念は果たしてどんな意味なのかを解説していきます。

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  • これが売れないバンドマンの生活実態!バンドマンが陥りがちな負のスパイラル

 

 

バンドマンはとにかくお金がかかります。何十万もする自分の楽器を揃える事に始まり、日々の練習スタジオ代、ライブのチケットノルマや打ち上げ、音源製作費。

 

勿論、これが毎日のように続く訳ですしそれこそツアーに出れば仕事も長いスパンで穴をあける事にもなる為、多くのバンドマンはアルバイトで生活を賄っています。

 

ですがアルバイトの時給など知れたもの。

 

時間の融通が利くように選んだアルバイトも二つ、三つと掛け持ちになる事も少なくありません。

本来は音楽に使うべき時間もアルバイトに費やし、華やかなステージにいつの日か立てる事を夢見て毎日を過ごしているのです。

 

加えて言えば、バンドマンはその華やかさゆえ、交友関係や異性関係も華やかです。

 

人間の心とは弱いもので、そんな息抜きが見つかれば更に音楽に費やす時間は少なくなることでしょう。

 

バンドマンの生活を簡単に言えば。

・毎日睡眠不足。

・貧乏。

・社会的弱者への入り口。

 

こんなところでしょうか。

 

 

  • メジャーデビューの落とし穴

 

 

そんな苦しい生活の果てに、仮にめでたくメジャーデビューを遂げたとします。

 

これから先は順風満帆な薔薇色の人生だ!!

 

と思うかもしれませんが、決してそうではありません。

 

今はCD自体が売れない世の中なのは皆さんもよくご存じでしょう。

かつてミリオンセラーを連発した一流アーティストでも、今のセールスはせいぜい30万枚程度。

 

音楽の流通に関しては3分の1程度まで落ちています。

 

昔は事務所やレーベルでアーティストを育てプロデューサーを招いてより他の事務所よりもヒットを飛ばす努力をしていたかもしれませんが、今は売れる見込みがなければ早々と切ります。

 

飲食物や衣類と同じく、会社は「売れない商品」に「売る努力」をするよりも「売れる可能性のある商品」をより確実な方法で「売れる商品」に変えて行きます。

 

どんなに良い楽曲があって、歌が上手くても毎回ライブに3名のお客さんしか来ないアーティストだったら、下手だけど毎回チケット売り上げの利益が元々出ているバンドに可能性を見出すのは企業としても当然の事です。

 

さらに、メジャーデビューしたとしても契約は1年。

 

1年間で売れなければ契約はそのまま終了になります。

ですので、メジャーデビューしてあっという間に消えていくというバンドもかなり多いはずです。

 

実は、ある程度の腕があればメジャーへ行く事自体はそんなに難しい事ではないのです。

ですが、メジャーに行くという事は、そのメリット、デメリットもしっかりと把握していなければなりません。

 

また、デビューと言ってもその商品自体に対する収益はまだない訳ですから間違ってもプロ野球のドラフトのような契約金が発生するなんてありえません。

 

そして例えば、晴れてCDをリリースしたとします。

仮に売れたとしても自分達の手元には売り上げの1%程度です。

 

残りの収益は、CD自体の製作費やプロモーション費用を担うそれぞれの関係機関へ吸収されるのです。

 

  • バンドで夢を見る事はNGなのか?

 

それでは、この世の中ではバンドに夢を持つ事はNGなのでしょうか?というと、決してそういう訳ではありません。

 

その夢に向かうには適格な道筋と段取りが必要なのです。

 

アーティストの輝いていられる時間は限られています。

 

スガシカオさんは30代になってからのデビューですが、一度会社員経験しある程度の蓄えがあり、その貯蓄を使って機材や楽器を揃えた上でデビューしていますが稀です。

 

極端に言えば、例えば40歳、50歳の髪が薄くなったおじさんがロックならまだしも、爽やかなポップソングやバラードで「あなたを見つめている」なんて本気で歌っていたら、ちょっと気持ち悪いですよね。

 

ミスチルやサザンがラブソングを歌っても抵抗がないのは、若いころの彼らの輝きを我々は知っているからです。

 

遅くても30代を迎えるまでにはある程度の見極めが出来なければ、それこそあなたの人生はとんでもない失敗人生を迎える事になります。

 

若かりし頃の栄光に縋って土木工事やコンビニ、居酒屋のアルバイトで普通のサラリーマンなら退職金をガッポリと受け取る年齢を迎えるなんて、そんな失敗は嫌ですよね。

 

 

  • バンドで失敗しない為の1歩目

 

ズバリ、言います。

 

『集客力』を得る事です。

 

まず、目指すべき集客力の設定は、ワンマンライブで200人程度。

 

恐らくアマチュアバンドがライブするライブハウスのキャパは、このくらい入ればギュウギュウというイメージでしょう。

 

  • 集客力アップの秘訣とは?~序章~

その為には何が必要か。

 

そう問うと、バンドマンは答えます。

 

『上手な演奏』『良い楽曲』『圧巻のライブパフォーマンス』

 

確かにそれらは、いずれ集客力を安定させるためには必要であり、多くのバンドマンがこの作業に多くの時間を費やします。

 

ですが、よく考えてみて下さい。

 

あなたが対バンするバンドで、こんな経験はありませんか?

 

「大してうまくもないのに、なんでこのバンドはお客さんが入るのだろう・・・」

 

でも、結果的にあなたたちの方がお客さんを呼べていないのであれば、今後売れる可能性のあるバンドは「大してうまくもないバンド」の方です。

 

きっと、そのバンドの方がやり方が上手かったか、友達が多かったのでしょう。

 

ライブに関しては、大体のバンドさんはライブハウスのブッキングに合わせてライブをするのではないでしょうか。

ですが、ブッキングライブでのお誘いは殆どが、ライブの空きを埋めたいので漠然と似ていそうな寄せ集めをします。

 

ある程度集客の見込めるバンドはライブハウスの一押しの企画等に誘うと思いますので、そうでないバンドはこのブッキングライブの罠に陥り、客の居ないライブハウスでただ高いノルマを払ってお客を呼べないライブを繰り返します。

 

いよいよCD制作し、ツアーに出ます。

そんな誰かもよく分からないツアーバンドの都合に合わせてライブハウスがわざわざそこに集客力のあるバンドを組み込んだりなんてまずしません。

わざわざ遠方に行って、スカスカのライブハウスでライブをして、ツアーに出たという満足感とプライドだけを持ち帰ってくる訳です。

勿論、CDの売り上げもほとんどありません。

 

 

はっきり言います。

 

時間と経費の無駄です。

 

ライブしたいなら、ライブハウスに連絡して空いている日を聞けば誰でもライブが出来ます。

この自分で設定したライブに焦点を当てて、準備をしてくのです。

 

 

上にあげた無駄な時間を使うのならばいっそのこと、ツアーや無駄なブッキングライブに無作為に出演する半年間ライブ活動を休止して、そこに使うはずだったお金を当ててちゃんとしたレコーディングスタジオで名刺代わりの1曲~2曲をクオリティの高い音質でレコーディングしてください。

 

この事が、後々大きな意味合いを持ちます。

 

 

  • 集客力アップの秘訣とは?~第2章~

 

 

集客力を更に上げるためにする努力を伺うと、よく聞く答えが『ポスター、チラシの折り込み』です。

 

申し訳ないですが、もう一度この言葉を言います。

 

時間と経費の無駄です。

 

あなたがライブハウスにお客さんとして足を運んだ時の事を考えてみて下さい。

入口で渡された沢山のビラ。

 

この中で、全然知らないバンドのチラシを突然見て、「あ、面白そうだから見に行こうかな・・・」なんて思いますか?

 

まずありえません。

 

チラシというのは、あらかじめイメージがあるから見た時に興味関心を惹くのです。

 

 

マクドナルドで例えます。

ハンバーガーショップは日本には沢山あります。

モス、ロッテリア、フレッシュネスバーガー、ケンタッキー。

 

各ショップから同日にチラシが入っていたとします。

 

現状を言うと、売り上げはマクドナルドの圧勝です。

 

品質で言えば余程モスバーガーの方が上品です。

 

ですが、多くのユーザーは、「ハンバーガー=マクドナルド」をインプットしています。

 

これは味や品質だけではなく、値段や雰囲気、そういったトータル的なイメージも含みます。

 

要は、あらかじめインプットされているから確率的に「ハンバーガー食べたい!」「じゃぁマック行く?」というやり取りに繋がるのです。

 

ですので、あなたのバンドがインプットされていない状態ではチラシを見てあなたのバンドに興味関心を持つ事はまずありません。

 

 

  • 集客率アップの秘訣とは?~第3章~

 

ここで、先ほどの、『名刺代わりの1~2曲を高い品質でレコーディング』という話に繋がります。

 

殆どのバンドさんは、多くの一目に触れる環境で自分達の音楽を知ってもらう機会に恵まれず、そのことが一番大きな悩みです。

 

だからこそ、テレビ等で目にするアーティストをうらやましく思う訳です。

 

そして、その宣伝効果を得るためにライブを・・・という流れになる訳ですが、先ほども言いました通り、沢山のお客さんが集まるイベントに出演させるバンドはライブハウス側も相当選ぶはずです。

ましてやプロミュージシャンの前座なんて、途方もなく狭き門です。

 

ですが、これと同等の効果を得る方法があるのです。

 

 

それは、メジャーバンドのライブ会場での出待ち&無料音源配布です。

 

 

出来るならばあまり多くの経費は使いたくないので、自分達と音楽の系統が似ていて集客のあるバンドに絞りましょう。形態は別にCD-Rでも何でも、カーステレオや自宅のコンポで聞ければ良いです。

サインやメッセージカードを同封するのも良いでしょう。

ホームページやバンド専用SNS、メールアカウントは必ず記載してください。

もし気に入れば、問い合わせに繋がるかもしれません。

 

アマチュアバンドのライブを見に、毎日のようにライブハウスに足を運ぶ人も全くいないとは言いませんが、相当なコアな方だと思います。

そして、大体はこの数少ないコアな人を沢山のバンドで奪い合うのですが、あなたがゲットしたいお客さんは、バックナンバーや米津、スピッツ等のヒットチャートに並ぶアーティストの音楽を聞く、一般のリスナーなのです。

 

ですので、音源や楽曲を作る際は、最低でも邦楽ヒットチャートトップテンは必ず聞く習慣をつけましょう。

 

 

いやいや、自分はもっとカッコいい音楽をやりたい!と思うかもしれませんが、それはお客さんが集まるようになってからでも全然遅くはありません。

ついでに音源制作に関していえば、シンセサイザーは必須です。特にストリングスとピアノ。この音が限りなく生に近い音質で入っているかどうかで、プロっぽいかどうかが決まると言っても過言ではありません。

 

 

さて。話は戻ります。

 

チラシはダメなのにサンプルCDは良いの?

と思う方もいるかもしれませんので補足します。

 

最初に言った通り、バンドのイメージが必要なのです。

紙一枚では写真が載ってたとしても、例えば余程のイケメンでもなければ見る事はないでしょう。

 

 

  • 集客力アップの秘訣とは?~第4章~

 

 

さて。サンプルCDにホムペは載せましたが、これだけではせっかく印象に残っても、すぐに忘れられてしまう可能性が高いです。

 

ですので、可能ならば自分達が焦点を合わせたいライブに関するスケジュールも一緒に同封しましょう。

自分達で立ち上げる自主企画のライブイベントやワンマンライブならなおの事良いでしょう。その際は、必ず自分達が出演する目安の時間も記載してください。

見る立場になってみると分かりますが、意外と知らないバンドを延々と立って見ている事って苦痛なんです。

 

同時に、持ち込みでラジオ局へ足を運び出演させてもらうのも良いと思います。

FM大手は難しいですが、コミュニティFMは意外に相談すれば簡単に出させてくれる事が多いです。

 

サンプルCDに同封するチラシやホムペには出演予定も記入しておくと良いでしょう。

ラジオは今、滅多に自分で聞く事は少なくなりましたが、興味があるものが出演するとなれば、時間が合えば聞いてみようという意識が芽生えます。

このメディア情報があるかないかでプロっぽいかどうかという判断基準にもなります。

 

そしてyoutubeの登場です。

Youtubeは、ビデオメッセージやリハーサルの進行状況等、リスナーが興味関心を持つ内容を投稿し、ホームページやバンド専用のSNSに貼り付けます。

 

配布した音源に関する制作秘話やレコーディング風景などもアップするとより興味関心のイメージが沸きやすいかもしれません。

 

 

ここまでの経費を考えてみましょう。

 

・レコーディング→エンジニア込み:6万程度(2曲:ミックス込み)6時間パック×2日

・CD-R代→100枚×5セット:5000円

・CD-Rケース100枚×5セット:1500円

・同封用チラシ:500円くらい

 

状況によって差はありますが、多めに見積もってもアマチュアレベルであれば10万もあれば相当の資金にはなると思います。

 

この資金が苦しい時は、3~4カ月程活動を休止してその分貯金する期間を設けるのも一つかもしれません。

 

毎回スタジオ3時間に6000円掛かっていれば、ひと月で3万。

大体3カ月程度で必要な金額はたまるという単純計算ですが。

 

これを高いと捉えるか、安いと捉えるかはあなた次第です。

確かに1時的な出費は出ます。

 

しかしながらこれをする事によって例えばです。

 

自主企画にホールレンタル20万のライブ会場を4バンドで抑えたとします。

1バンド5万のノルマとなる訳ですが、2000円チケットで換算すればたった25人でノルマは達成。50名でプラス5万。

ここに、宅録で用意したアコースティック音源を1枚500円程度で準備し販売したとする来場者の半分の25名が購入したとして、12500円。

この段階で、元を取る事は出来ます。

 

これが仮に100名の来場者があったとすればどうでしょう。

 

 

そして、すなわち、その収入-経費が、単純にあなたたちのバンドの今の価値となる訳です。

 

今回利益となった収入は、また次に控えるメインに向けたライブの営業資金とします。

間違っても自分達の取り分的な感じで山分けせず、バンド専用に貯金してください。

 

一度自主企画である程度の集客を得たバンドにライブハウスは手のひらを返します。

そうなって初めて多少の我儘が効くようになるのです。

例えば、集客のあるバンドと一緒に・・・とか、メジャーバンドの前座に・・・とか。

 

その分、またここでイベントやる時は前回の倍はお客さん呼びますので・・・と。

 

これを何度か繰り返すうちに集客がどんどん増えます。

 

東京は正直厳しいかもしれませんが、それ以外の地域ならばおそらくワンマンライブで150~200名ほど集める事が出来ればその地域の有名人です。そのくらいの知名度があれば、徐々にメディアや音楽関係者もそのバンドに少しずつ目を向けるようになるはずです。

 

 

  • 自主活動のすすめ

 

 

必ず・・・という訳ではないですが、先ほども言った通り、今の音楽業界はとにかく不況でこれから回復するという見込みは全くありません。

それはアイドルにしても同様で、だからこそ握手券とかプロマイドとか、そんな無理やりな方法で意地でもCDを売りたいのです。

 

そんな状況ですから、メジャーデビューしても収入は安定しないどころか、非常に大きなリスクを伴います。

だからこそ、今までメジャーで活動していた有名アーティストが突然自主レーベルを立ち上げたりインディーズに戻って活動していたりするわけです。

 

しかしながらメジャーは全くメリットがないという訳ではありません。

ではメジャーのメリットは??というと、要は先ほど説明した集客アップの段取りは営業戦略であり、その営業戦略のコネクションが個人よりも圧倒的に幅が広いという事です。

雑誌であったり、テレビ番組であったり、電車や街頭の広告であったり。

 

ですが、そういった宣伝、広告は莫大な資金がかかります。勿論、個人でそれをやろうとしても到底無理な話ではあるのですが、だからといってその莫大な費用を名前も知らない話題性もない新人のアーティストに費やすという事はほぼありません。

結局は、まずは自分達で出来る営業を・・・ということで繰り返しライブをさせる事になります。

アマチュアが無作為にブッキングライブに参加するよりは人目に触れる確率は高いですが、契約期間内である程度の話題と売れる見込みがなければ契約解除となる訳です。

 

その反面、中にはどこの事務所にも所属していませんが、サラリーマンの傍ら完璧な自主活動で毎月2~3本のライブに参加し、毎回確実にノルマをクリアして収益を出しているバンドも結構多いようです。

 

つまりは事務所がバックについても自分達で売れる努力をしなければそれで終わりますし、事務所に所属していなくてもやり方によってはそれなりの収入を得る事も可能な訳です。

 

 

  • まとめ

 

 

長くなりましたがいかがだったでしょうか。

 

今回はバンドにおける営業活動のごく一部を紹介しましたが、この他にも上手なバンドの運営方法は沢山あると思います。

 

一番大切な事は、「努力の量」ではなく「努力の質」なのです。

 

そしてこの「努力の質」の求めるべきものが、ターゲットをいかに増やすかの努力であり、ここには演奏、楽曲のクオリティやライブパフォーマンスのみではなく、それ以上に大切な「楽曲が人に触れる機会の提供」が何より必要な訳です。

 

そう考えると、バンド活動をもし本業とするのならば、そのバンドを「会社」として見立ててリーダーは経営するくらいの気持ちを持って活動していくべきだと思います。

 

ですが、音楽系の専門学校等ではこの大切な部分は決して教えてはくれません。

むしろ、経営学とかそういったノウハウを身に着けて自分達をアピールする手段をどんどん増やし、より良いバンド活動を末永く続けていく事が出来ると良いですね。

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